税理士会の税金相談会(無料)にこんな方がいらっしゃいました。
『相続税の申告義務が今週末なので、この申告書が間違っていないかチェックして欲しい』とのこと。
最近この手の相談はとても増えました。この記事をお読みになっている方も自分で申告しようとされているかも知れません。
私がもし相続税の申告が必要な場合になったら、自分では絶対にやりません。税理士に委託します。理由は3つあります。
①税理士報酬は高いか?
税理士報酬は確かに安い金額ではありません。ただ、一生に一回あるかないかの相続税の申告を、一から自分で勉強して申告書までまとめる時間・労力はたいへんなものになります。その時間や労力はご自身やご家族のために使った方が経済的ではないでしょうか?
上記の相談者の方は、この申告のために赴任先のインドから帰国されて、税務署や税理士会をはしごして相談しているとおっしゃっていました。帰国前にもインターネットで情報を収集して勉強していたとのこと。私に委任してくれたら30万円くらいの案件、この方が申告書作成に使った時間はどれくらいだろう?と考えると30万払う方がお得なのになあ~と思いながら相談を聞いていました。
②税額が正しいのか?
税理士は相続税の申告書にミスがないこと、納めていただく税金が最も低いことを保証して、その対価として報酬をいただきます。
一般の納税者の方が計算した税額は正しいのでしょうか?例え計算ミスによって過大に税金を納めていたとしても税務署から『納め過ぎですよ』と言って税金を返してくれることはありません。
また、税理士に頼むことで支払う報酬を超える節税効果が出ることも多いと思います。正しいのか良く分からない計算を自分でやるよりも、正確な計算で節税をしてくれる税理士さんがいればその人に頼んだ方が合理的ではないですか?
③税務署の調査は大丈夫か?
国税庁のプレスリリースによると、平成26年の相続税の申告件数が56,000件、この申告に対する調査件数は12,000件、税務調査の割合は約20%もあるそうです。
一方、私が作成した相続税の申告書に対する調査の割合は2%です。他の税理士さんも数パーセントの人が多いようです。では、2%とプレスリリースの20%の差は何でしょうか?恐らく、税理士を使わずに納税者の方が自分で作成した申告に対する税務調査の割合が多いということではないかと思います。
あくまで推定ですが、56,000件のうち税理士関与が半分(28,000件)、納税者自主作成が半分(28,000件)とします。税理士関与に対する調査の割合を仮に5%とすると調査件数は1,400件、対して納税者自主作成に対する調査件数は差し引きで10,600件、申告に対する調査の割合は(10,600件÷28,000件で)38%となる計算です。
税務署の調査を避けるためにも税理士は使った方が良いと思うのですが…いかがでしょうか。