相続税には時効がある!?申告しないと後が怖い追徴課税

相続税の時効

「窃盗のような刑事事件でも時効があるんだから、相続税にも時効があるんでしょ?」というご質問をいただく事があります。

どうなのでしょうか?

時効があるんだったら、時効を過ぎたら相続税を納税しなくてもいいのでしょうか?

今回は相続税に時効があるのか、わざと申告をしなかったらどうなるのか、といった時効と追徴課税に関することを、分かりやすくご説明したいと思います。

 

相続税に「時効」ってあるの?

結論から言いますと、相続税には時効があります

「申告しなければいけない」と知らずに申告しなかった場合と、知っていてわざと申告しなかった場合で時効の期間が異なります。

 

善意の相続人の場合

法律用語で「善意」「悪意」という言葉が良く出てきます。

ここで言う「善意」というのは他人のための親切心ということではなく、「ある事実を知らない」という意味で使います。

つまり「善意の相続人」という場合は、「相続税を申告しなければいけないという事実を知らなかった相続人」ということになります。

相続税の申告をしなくても良いと信じ切っていた人ですね。

善意の相続人の場合、相続税の時効は5年です。

 

悪意の相続人の場合

逆に「悪意」の相続人というのは、「相続税の申告をしなければいけないという事実を知っていた相続人」ということになります。

相続税を申告しなければいけないと知っていて、わざと申告していないわけですから、善意の相続人に比べて悪質ですよね。

善意の相続人よりも悪質という意味で、悪意の相続人の場合、相続税の時効は7年になります。

 

時効前に見つかると、どうなるの?

時効前に発見「相続税に時効があるんだったら、とりあえず申告しないで、見つかったら申告すればいいんじゃないの?」なんてことは、決して考えない方が良いと思います。

税務署の相続税の担当者は、相続調査のプロです。不動産の所有者なども当然チェックしています。

亡くなられた方の生前の所得や財産の申告記録がありますので、あなたが相続税の申告をしなくても、財産が相続されたということは、ほぼ確実に見つかると思っていいでしょう。

相続税の税務調査に関しましては『相続税の税務調査を徹底解説します‼』のページでも詳しくご説明しておりますので、ご参照下さい。

例え万が一見つからなくても、相続税の納税義務があるのに納税しないのは「脱税」という立派な犯罪です。

これから見ていきますように、申告しなかったり、わざと相続額を低く申告した場合は厳しい罰則がありますので、十分気を付けて下さい。

 

延滞税

税金には全て納付期限があります。

この納付期限を過ぎてしまうと、延滞税という追徴課税が課せられます。

相続税の納付期限は、申告期限と同じ「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

延滞税は、「納期限の翌日から2ヶ月経過する日まで」とその日以降で税率が変わります。

国税通則法60条

 

納期限の翌日から2月を経過する日までの延滞税

原則として年7.3%となります。

なぜ、原則としてと書いているかというと特例基準割合という決まりがあり、平成26年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となっているからです。

特例基準割合の詳しい説明は国税庁のホームページにも記載されていますので、ご参照下さい。

No.9205 延滞税について

 

納期限の翌日から2月を経過した日以後の延滞税

原則として年14.6%となります。

2ヶ月を過ぎると、倍になります。銀行預金の金利と比べたら倒れそうになるくらいすごい金利ですよね。

こちらも特例基準割合がありますので、詳しくは上記の国税庁のホームページをご参照下さい。

 

無申告加算税

無申告加算税には、申告期限を過ぎてしまって、その後に自主的に申告したか、申告していないかで税率が変わります。

国税通則法66条

 

申告期限後に自主的に提出した場合

例えば、相続税申告をしなければいけないのに、期限までに申告をしていなかった人が、後で気がついて申告したようなケースです。

この場合、税金総額の5%が課税されます。

 

申告期限後の税務調査で申告漏れが判明した場合

税務調査で申告漏れ判明それに対して、こちらは「税務署に見つかったから申告した」というケースです。

「相続税を申告しなければいけないなんて、知りませんでした」という言い訳は通用しません。

そりゃあそうですよね。税務署に見つかっても、「申告しないといけないなんて、知りませんでした」と言って税率5%になるんだったら、誰も自主的に申告なんてしませんから。

知っていても知らなくても、申告期限後に相続税の申告漏れを税務署に指摘された場合、税金総額の15%(納付税額が50万円を超える部分に対しては20%)が課税されます。

例えば、本来の納税額が1000万円だった場合、50万円までが15%ですので7万5千円、50万円を超した部分の950万円の20%ですので190万円、合計で1197万5千円を納税することになります。

さらに、これに加えて延滞税などがかかってきますので、実際にはこれ以上の金額を納税しなければいけないことになります。

 

過少申告加算税

過少申告加算税とは、実際の相続財産の金額よりも少なく申告をした場合に課される追徴課税のことを言います。

「過少申告」ですから、既に申告はしていることが前提になります。

過少申告加算税も自主的に修正申告をした場合と税務調査で指摘されて修正申告した場合で税率が変わります。

国税通則法65条

 

自主的に、修正申告した場合

自主的に修正申告した場合は0%。

つまり追徴課税はありません。

「間違って申告してしまって、正直に修正したんだから許してあげます」ということなのでしょう。

 

税務調査により修正申告をした場合

税務調査で修正申告税務調査で見つかって修正申告した場合は、追加で納付した税金の10%の過少申告加算税が課せられます。

追加納付税額が「期限内に申告した税金」または「50万円」のいずれか多い金額を超える部分に対しては15%の過少申告加算税が課せられます。

例えば、期限内に申告した税金が500万円で追加納付した税金が1000万円だったとします。その場合、期限内に申告した税金を超える部分500万円には15%課税されます。

期限内に申告したのと同額の500万円が10%、それを超す部分の500万円が15%それぞれ課税されますので、合計125万円の過少申告加算税が課せられることになります。

 

重加算税

重加算税とは、財産を意図的に隠したり、証拠書類を隠ぺいする等、特に悪質な虚偽申告又は無申告と判断された場合に課せられる追徴課税のことを言います。

重加算税は、過少申告加算税・無申告加算税の代わりに課せられるものなので、重加算税と無申告加算税を同時に課せらるようなことはありませんが、延滞税は同時に課せられます。

国税庁の事務運営指針では、重加加算税の対象となるケースを以下のように例を挙げています。

「相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」

(1) 相続人(受遺者を含む。)又は相続人から遺産(債務及び葬式費用を含む。)の調査、申告等を任せられた者(以下「相続人等」という。)が、帳簿、決算書類、契約書、請求書、領収書その他財産に関する書類(以下「帳簿書類」という。)について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿をしていること。

(2) 相続人等が、課税財産を隠匿し、架空の債務をつくり、又は事実をねつ造して課税財産の価額を圧縮していること。

(3) 相続人等が、取引先その他の関係者と通謀してそれらの者の帳簿書類について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿を行わせていること。

(4) 相続人等が、自ら虚偽の答弁を行い又は取引先その他の関係者をして虚偽の答弁を行わせていること及びその他の事実関係を総合的に判断して、相続人等が課税財産の存在を知りながらそれを申告していないことなどが合理的に推認し得ること。

(5) 相続人等が、その取得した課税財産について、例えば、被相続人の名義以外の名義、架空名義、無記名等であったこと若しくは遠隔地にあったこと又は架空の債務がつくられてあったこと等を認識し、その状態を利用して、これを課税財産として申告していないこと又は債務として申告していること。

国税通則法68条

重加算税も期限までに申告していた場合としていなかった場合で税率が変わります。

 

相続税申告をしていた場合の重加算税

財産を意図的に隠したり、証拠書類の隠ぺい等をして相続税申告をしていた場合の重加算税は、追加納付した金額の35%になります。

例えば本来1500万円納税しなければいけないところ、虚偽の申告をして1000万円納税していた場合、500万円が追加納付する金額になります。

この500万円の35%(175万円)が重加算税として追徴課税されます。

 

相続税申告をしていなかった場合の重加算税

重加算税相続税の申告をせず、財産を意図的に隠したり、証拠書類を隠ぺい等をしていた場合の重加算税は税金総額40%になります。

ここで、注目して頂きたいのが、申告をしていた場合は最初の申告時に納税した額で足りない部分に対して35%の追徴課税となるのですが、申告していない場合は税金総額の40%になるという点です。

先程の例で言いますと、過少申告で1000万円納税していたところ、実際には1500万円納税しなければいけなかった場合、申告をしていた場合の重加算税は不足額の500万円の35%ですから175万円になります。つまり追加で675万円支払わなければなりません。最初の申告時に支払ったものを合計して1675万円を支払うことになります。

それに対して申告していなかった場合の重加算税は、1500万円の40%の600万円の重加算税が課せられますから、合計で2100万円を支払うことになります。

このように、悪質な隠ぺいでかつ申告もせずに税務署から指摘を受けた場合、メチャクチャ重い税率の重加算税を課せられることになります。

さらに、納期限以降の延滞税がかかります。

例えば、時効を待って申告をせずに、納期限の4年後に税務署から指摘を受けたりしたら、すごい金額の追徴課税になります。

 

まとめ

女性の相続税専門税理士いかがでしたでしょうか。

時効まで待とうなんて考えていたら、延滞税もどんどん増え、無申告加算税の課税、もし特に悪質な場合は重加算税が課せられ、とんでもない金額の追徴課税を納めることになってしまうことが、ご理解頂けたかと思います。

そもそも、納税義務があるのに申告をしないのは脱税行為です。立派な犯罪ですので、絶対にやめましょう。

 

相続専門税理士相続税対策としてインターネットでも、さまざまな情報が飛び交っていますが、本当は間違っているという情報も少なからずあります。
怪しい情報を信じて相続税対策になると思っていたら、悪質な隠ぺいと判断されて重加算税が課せられる心配もあります。

ですから、ご自身の判断で相続税対策をされるのは非常に危険なのです。

ご相談は無料ですので、少しでもご心配な方は、お電話でもメールでもお気軽にご相談下さい。

大阪相続あんしん相談センターの大阪の相続税専門税理士

 

 

相続税申告に関するお問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

電話番号:06-6360-9541 9:00-18:00(土日祝日対応)

※スマートフォンの方は番号をタップして頂くとかかります。

 

ホームページからのお問い合わせ

    お名前 (必須)

    メールアドレス (必須)

    件名 (必須・複数選択可)

    相続税無料相談について相続税申告について相続税の税務調査についてその他のお問い合わせ

    お問い合わせ内容(必須)

    上記の内容にお間違いがなければ、チェックを入れ送信してください。

     

    秘密を守る義務(守秘義務)について

    税理士は税理士法という法律で秘密を守る義務が定められています。

    お客様からのお問合せ内容を第三者に漏らすことは致しません。

    安心してご相談、お問合せ下さい。

    税理士法 第38条 (秘密を守る義務)

    税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して利しえた秘密を漏らし、又は窃用してはならない。

    税理士でなくなった後においても、また同様とする。

    税理士法 第54条 (税理士の使用人等の秘密を守る義務)

    税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は窃用してはならない。

    税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなった後においても、また同様とする。