「うちは財産っていっても小さな土地と少しの貯金くらいしかないから」と安心していたら、実は申告をしなかったために「払わなくてもよかった相続税を払わなければいけなくなった!」と判り、大慌て!というケースが実際にあります。
怖いですよね。
でも、それって、一体どんなケースなのでしょうか?
このページでは、「相続税の申告はいつまでにしなければいけないのか」また「どのような場合に相続税申告をしなければいけないのか」を判りやすくご説明したいと思います。
平成27年(2015年)1月1日施行の相続税大改正
平成27年に相続税の大きな改正がありました。
主に4つの改正があったのですが、その中でも「基礎控除の縮小」によって、相続税を支払わなければならない人が増えました。
「うちは小さな土地しかないから、関係無いわよね」と思っていたら、平成27年の改正で相続税を支払わなければいけなくなった人が出てきたのです。
反対に、小規模宅地の特例など課税対象の緩和の改正もあり、そういった特例のお蔭で宅地を相続しても相続税の課税対象にはならないという人もたくさんいます。
が、実はこの特例がポイントで、小規模宅地の特例を自分で解釈してしまい、後でトラブルになるケースがあるのです。
※この平成27年の相続税の改正内容に関しましては『相続税の基礎控除縮小で「私も納税義務者!?」平成27年の相続税大改正』で詳しくご説明していますので、是非ご参照下さい。
相続税の申告期限
相続税の申告期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」とされています。
「相続の開始があったことを知った日?」
これって、なんだか分かり難いですよね。
それでは例をあげてご説明したいと思います。
仮にあなたの親族の方がお亡くなりになって、その財産をあなたが相続するとします。
「相続の開始」とは、被相続人、つまり親族の方がお亡くなりになった時を言います。
ですから、相続が開始するのは、あなたがその親族の方が亡くなられた事を知っていたか知らなかったかは関係ありません。
親族の方が亡くなられた時から相続は開始します。
で、「相続の開始があったことを知った日」というのは、つまり、「あなたが、親族の方が亡くなられたのを知った日」ということになります。
しかし、通常は「相続の開始した日」と「相続の開始があったことを知った日」は同じになりますので、親族の方が亡くなられた日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告をしなければならないということになります。
「相続税申告は不要」という自己判断は危険!
相続税には基礎控除以外にも小規模宅地の特例や配偶者控除のようにさまざまな控除があります。
こういった控除の存在を雑誌やテレビで知って、「ああ、うちの宅地は300㎡だから今回の改正で20%の評価額になったんだ。じゃあ、相続税はかからないから申告しなくてもいいな」と安心して自己判断で相続税の申告をしなかった場合、後で大変なことになってしまうケースがあるのです。
申告での選択意思表示が必要
小規模宅地の特例や配偶者控除は、自動的に適用されるわけではありません。
相続税申告書に「今回の相続に、小規模宅地の特例を適用します」という選択をして、必要書類を添付し、あなた以外に特例を適用する土地の相続人がいる場合は全員の同意なければ、小規模宅地の特例は適用されません。
配偶者控除も同様です。
つまり、相続税申告をしなければ、小規模宅地の特例や配偶者控除は適用されないのです。
特例が適用されなければ相続税納税対象になるという場合、申請をしないということは特例は適用されませんので、当然相続税を支払わなければなりません。
「知らなかった・・・」ではすみませんので、十分気を付けて下さい。
相続税申告の期限が過ぎたら、どうするの?
相続税の申告期限を過ぎてしまっても、期限後申告(相続税申告期限後に出す申告書)や修正申告でも小規模宅地の特例や控除の適用が受けられます。
ですから、たとえ期限が過ぎたとしても、相続税申告さえすれば特例や控除の軽減措置は適用できます。
特例を活用しても納税するべき相続税がある場合は延滞税がかかりますのでご注意下さい。
相続税申告をしなかったら、どうなるの?
相続税の課税対象者で相続税申告をしなかった場合、延滞税や無申告加算税、悪質な場合は重加算税か追徴課税されます。
過少申告や無申告に対しての追徴課税に関しては『相続税は時効で逃げ切れる!?申告しないと後が怖い追徴課税』で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「税務署に申告をするのって、なんかいろいろプライベートな事も調べられそうで嫌だなあ・・・」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、申告をしないことのリスクの方が大きいということもご理解頂けたかと思います。
確実に相続税申告が不要な場合は問題無いのですが、今回の例のように「小規模宅地の特例を適用すれば納税対象外になる」ような方は要注意です。
きちんと申告していれば払わなくてもよかった税金を払うことにならないように、ちょっとでも分からないことがある場合はお近くの税理士さんにご相談されるのが良いかと思います。
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